●モントゥー/METライブ
ドビュッシー ペレアスとメリザンド全曲
プレミエ60081DF
ドビュッシー 歌劇「ペレアスとメリザンド」
ペレアス:セオドア・アプマン(バリトン)
メリザンド:ナディーン・コナー(ソプラノ)
ゴロー:マルシアル・サンゲル(バス)
アルケル:ジェローム:ハインズ(バス)
ジュヌヴィエーヴ:マーサ・リプトン(メゾ・ソプラノ)
イニョルド:ヴィルマ・ゲオルギュー(ソプラノ)
医者:ルーベン・ヴィシェイ(バス)
ピエール・モントゥー指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団
1954年1月2日、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場
ライブ、モノラル
Premiere
60081DF
Claude-Achille DEBUSSY
PELLÉAS et MÉLISANDE
Drama lyrique en cinq actes et douze tableaux
Texte: Maurice Maeterlinck
Pelléas.................Theodor Uppman
Mélisande...............Nadine Conner
Golaud..................Martial Singher
Arkel...................Jerome Hines
Geneviève...............Martha Lipton
Yniold..................Vilma Georgiou
Le médecin...............Luben Vichey
Metropolitan Opera Orchestra and Chorus
Pierre Monteux, conductor
January 2, 1954
Metropolitan Opera House
Matinee Broadcast
Recorded Live MONO
2CD set
WARNING: The Act 2 Scene 1 original source material, equivalent to about 3 minutes 40 seconds of music, were missing. The missing material, which spans the time interval from 2:14 to end of Track 10 and all of Track 11 of this CD-R, was replaced here with the corresponding passage from the recording on Teatro Colon June 19.1962, Jean Fournet with Victoria de Los Angeles and Pierre Mollet.
※おそらく初登場となるモントゥー指揮による「ペレアスとメリザンド」全曲。メトロポリタン歌劇場(MET)におけるライブ録音。おそらくエアチェックテープがオリジナルソースと思われるが、残念ながら録音状態は優秀とはいえず、ややくすんだノイズっぽい音質。テープによる録音にもかかわらず第4幕~第5幕には、ディスク録音に聞かれるスクラッチのようなノイズも若干入り、第5幕の末尾にはわずかな周期的なレベル変動もある。それでも大きなノイズや破綻、ピッチの変動はなく、中継放送用のマイクセッティングも適正であるため、歌手とオーケストラのバランスも問題なく、聞こえるべき音は聞こえる。総じて言えば
1950年代前半のマリア・カラスによるミラノ・スカラ座ライブなどと同等か。CD化に当たって音質を若干改善させており、第4幕~第5幕のノイズは鑑賞の妨げにならないレベルまで低減してある。モントゥーの演奏を知るために不足はない。
なお、ジャケットの断り書きにあるように、オリジナルの音源は、トラック10第2幕第1場の2分14秒(メリザンドのNon, non, nous ne la retrouverons plus,)から、続くトラック11間奏曲末尾まで4分40秒弱の欠落があるため、1962年6月19日ブエノスアイレス・コロン歌劇場におけるジャン・フルネ指揮、ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス、ピエール・モレ出演のライブ録音で補っている。また、第4幕第3場、公園の泉水の場面は上演時にカットされ演奏されていない。
「ペレアスとメリザンド」は、1902年パリ・オペラ・コミックで世界初演されたが、モントゥーはこの初演にヴィオラ奏者として参加した(指揮は作曲家としても知られるアンドレ・メサジェ)。リハーサルでは、演奏者に対してドビュッシー本人からの指示や指摘もあったと思われ、初演を知る演奏家による指揮として興味深い(ただし、伝えられるところでは、メリザンド役選定をめぐって原作者メーテルランクとドビュッシーが激しく対立、リハーサルは、それぞれの支持者による妨害があったとも言われ、「春の祭典」に近い騒動の中で進められたようだ)。
上記CDの「ペレアス」公演は、モントゥーが1953~1956年にかけて、METで「ファウスト」「ホフマン物語」「カルメン」「マノン」「オルフェオとエウリディーチェ」「トラヴィアータ」などを指揮した中の一作品。「ペレアス」は6公演が行われた。ちなみにモントゥーのMET指揮は1917~1919年シーズン以来、実に30数年ぶりであった。
モントゥーは1908年から1914年まで、フランス北部の保養地ディエップのカジノ劇場と契約し、劇場のオーケストラを指揮してオペラ・オペレッタを含むおびただしい数の作品を上演した。モントゥー自身の言葉によれば、この経験により、いかなる作品の演奏依頼にも応えられる幅広いレパートリーを身につけたという。後年、モントゥーの活動は歌劇場のキャリアとは無縁であったが、ディエップの経験が、上記のようなMET公演に活かされているのだろう。
出演者は、日本でよく知られているスター歌手は見当たらないが、当時METで、シーズンオープニングなど重要公演以外の、普段の公演を支えた実力派が揃っている。とりわけペレアス役のアップマンは、1947年モントゥー指揮サンフランシスコ響による「ペレアス」演奏会形式上演(メリザンド役はマギー・テイト)において、この役を演じたことで注目され、翌年にニューヨーク・シティ・オペラで同じくペレアスを演じ、1953年METにデビューするに至った。このような経緯を考えると、この1954年の公演でも、アップマンの歌唱にはモントゥーの意図が十分に反映されていると思われる。ちなみにモントゥー指揮による「ペレアス」6公演すべてにアップマンが出演した。
ゴロー役のサンゲルは、フランス出身でアメリカで活躍。1955年ミュンシュ指揮ボストン響によるファウストの劫罰のRCA録音にメフィストフェレス役で参加している。興味深いことに、1945年METの「ペレアス」公演ではペレアスを演じていた。年齢とともに声域が低くなったか。
メリザンド役のコナーは、当時METでリリックソプラノ役を一手に引き受けていた名手。メリザンド役は、少なくともMETでは、モントゥー指揮による1953~1954年公演のみのようだ。なお、コナーは6公演中4公演に参加。残り2公演はビクトリア・デ・ロス・アンヘレスが出演した。
モントゥーは、上記ライブ録音以外に「ペレアスとメリザンド」の録音を残しておらず、1957年にボストン響と管弦楽抜粋をライブ録音していたのみである。
SHOP
このCD-Rのお問い合わせは
マエストロ・ガレージへ
http://www.maestrogarage.com/product-list/86
CATALOGUE
名演奏家ヒストリカルCD-Rカタログはこちらへ
http://www.ne.jp/asahi/classical/disc/index.html